TOP>記事>手探りから不動産投資をスタート!「中古アパート経営」でワタシが味わったリアルな実体験【司法書士大家が解説】

手探りから不動産投資をスタート!「中古アパート経営」でワタシが味わったリアルな実体験【司法書士大家が解説】

中古アパート経営は、賢く資産を増やし、守るための有効な手段の一つです。しかし、成功のためには物件選びから資金調達、そして日々の管理運営まで、さまざまな知識とノウハウが不可欠。そこで今回は、司法書士の近藤崇氏が自らの不動産投資経験から得た学びや、これから不動産投資を始める方に向けた具体的な助言をお伝えしていきます。

不動産投資を始めたきっかけ

司法書士の近藤と申します。横浜市で司法書士をしながら、別会社で宅建免許を取得し、不動産投資事業や不動産仲介業務をしています。

筆者がそもそも不動産投資に興味を持ったのは、司法書士という仕事柄もあるのですが、知人の不動産会社から勧められた中古戸建ての「リースバック案件」です。リースバックというのはご存じの方も多いでしょうが、前の所有者がそのままその不動産を借りてくれるという不動産投資の一種です。

入居者が前の所有者であることが多いため、管理が非常に楽であるのが特徴といえます。ちょっとした修繕なら、借り主が自分で対応してくれることも多いです。

ただ一方で、多くがやや郊外の戸建てが多いことから、不動産の流動性や、銀行融資や担保価値、という面では少し劣るかもしれません。また、払ってもらう家賃から逆算して売却価格を設定するため、比較的価格が安いのも特徴です。価格を高くしてしまうと、入居者の支払い家賃も高くせざるを得ません。おおむね市価よりは価格が安くなります。

こうした特徴から、リースバックは不動産投資初心者にとってエントリーのしやすい不動産投資といえます。筆者も最初に購入した物件から数年のあいだに、2~3軒のリースバックの戸建て物件を購入しました。

 融資を活用した不動産投資へシフトした理由

こうして不動産投資を始めた筆者ですが、そのうち、リースバック投資にも少し短所があることに気づきました。というのも少額から始められることから、銀行融資を組まずに投資を行っていたため、どうしても手元資金が減っていってしまうのです。そもそもリースバック物件は、先述のとおり郊外の戸建てが多いため、銀行融資が付きづらいという側面もあります。

詳しい説明は省きますが、仮に利回り10%の不動産物件を買ったとしても、そのすべてを現金で買った場合、手元資金を回収できるのは10年後です。実際には、購入諸費用や管理費、固定資産税などもかかるので、10年ではとても回収できません。

しかし融資を使えば、出した資金(自己資金)を回収するという面では、もっと早く資金を回収することもできます。不動産投資の世界では投資利回りやROI(Return on Investment)などと呼びますが、こうした利回りベースでいえば、ROI 20%なども十分可能なのが不動産投資です。このため不動産投資というのは、金融機関の融資と切っては切れない関係といえるでしょう。

融資により、手元資金以上の利回りを得る効果をレバレッジ効果といいます。レバレッジ効果を最大限に活用していくことが不動産投資の魅力といえるでしょう。不動産投資は、表面的な利回りだけを見ると、ややもすると株式や国債などの債券とほとんど変わらない商品と思われがちです。しかしその利回りだけで判断すると、むしろ入退去のリスクもあるため、株式等に比べリスクの多い商品ともいえます。どんな投資であってもリスクには十分な理解が不可欠です。

その後、筆者は徐々に築古の戸建てリースバック投資から、自己資金を極力温存し金融機関からの融資を受ける方針に変えていきましたが、最初に融資を受けるときは非常に怖かったのを覚えています。筆者は司法書士なので人の金銭消費貸借契約や抵当権設定に立ち会う機会はそれまでも多くあったのですが、いざ自分が債務者の立場になると、緊張した覚えがあります。

現状の課題、これから不動産投資を始める人に向けて

かくいう筆者も、中古の収益物件については、何棟か購入したり、または買い損ねてしまったりといった、おそらく多くの一般投資家の皆様と変わらない立場であります。コロナ禍以降、不動産投資、特に中古アパート投資の認知度が日に日に上がり、市況が過熱しているため、購入意欲があっても思うように買えない状況が続いています。収益物件を取り扱うポータルサイトの登録者数も右肩上がりということもあり、物件の購入にはなかなか難しい状況と感じます。

中古アパート投資は、表面利回りが提示されている点で株式や債券の投資にイメージが近く、加えてすでに入居者がいるため、購入直後から家賃が入るメリットがあります。こうしたメリットから、不動産投資初心者でもエントリーしやすいというのもあるのでしょう。ただ中古ですので、いずれ経年劣化による修繕費などは必ず掛かります。この点は、投資としての難易度はやや高いでしょう。

一方で、新築のアパートという選択肢もあると思います。筆者も現在初めて新築投資に取り掛かっていますが、新築のほうが最初に土地を買ったり建物を建てたりしてまとまった資金が必要になり、かつ建築期間中は家賃が入らないというデメリットがあります。ですが、一度建ててしまえば当面は修繕があまり必要ないという点では、むしろ初心者向きといえるのかもしれません。

総じて不動産投資というのは、どんなに本やWEBの記事を読んで勉強をしても、実際にやってみないとわからない点もあると思います。これからエントリーしようと思う方は、一室、一軒、一棟でもまずは買ってみることがよいのではないでしょうか。

不動産投資は少なくとも数百万円単位、多ければ数十億円という額の投資です。自身の返済能力や資産状況と乖離した額の投資を行ってしまうと、万一の際のリカバリーに時間がかかる投資でもあります。このため、まずは自身の財務状況や事業計画に合致した規模の投資から始めてみるのがベストです。

不動産投資をこれから始める方には、筆者が経験したような手元資金が減っていってしまう失敗を避けていただきたいと考えています。ぜひ他山の石として、慎重に進めてください。

もちろん最初は現金で不動産投資してみる、というのも堅実な選択でしょう。しかし、2棟目、3棟目と買い進めていくことをお考えの方は、最初に買う1棟目から、金融機関ローンを使うことも活用されたほうがいいと思います。

いずれにせよ、不動産投資を続けていく限り、大半の方はどこかで金融機関との付き合いが必要になります。購入したい物件が急に出てきたとしても、審査などがあります。事前に金融機関との付き合いがない場合、そもそも希望の物件を購入することすらできないことも。このため、金融機関との付き合いは「欲しい物件がみつかってから」ではなく「不動産投資を志したときから」、入念に準備を進めていくべきかと思います。

特にサラリーマンの方は、安定した収入があるうちに金融機関とのコミュニケーションを深め、金融機関からの信頼を得ておくことが、その後の堅実なアパート経営の選択肢を広げるうえで非常に重要です。個人の属性に合わせたパッケージローンを提供し、優良なサラリーマン投資家をサポートしている金融機関もあるため、積極的に相談してみるのがよいでしょう。

監修:近藤 崇氏(司法書士法人近藤事務所 司法書士)

監修:近藤 崇氏(司法書士法人近藤事務所 司法書士)

横浜市出身。横浜国立大学経営学部卒業。平成26年横浜市で司法書士事務所開設。平成30年に司法書士法人近藤事務所に法人化。


取扱い業務は相続全般、ベンチャー企業の商業登記法務など。相続分野では「孤独死」や「独居死」などで、空き家となってしまう不動産の取扱いが年々増加している事から「孤独死110番」を開設し、相談にあたっている。


幻冬舎GOLDONLINE 紹介ページはこちら


関連記事

サイトについて

アパート経営オンラインは、堅実・健全な不動産賃貸経営業をナビゲートする情報メディアを目指し、既に不動産を経営されている方、初めて行う方に向けてお届けするサイトです。
様々なことに向き合い、改善するきっかけとなりますようアパート経営オンラインでは、成功事例や失敗事例を交え、正しい不動産の経営方法をお伝えいたします。

メルマガ会員募集中

こんなお得な情報が届く!

  • 記事公開などのサイトの更新情報
  • アパートローンセミナーのお知らせ
  • その他お役立ち情報など

メルマガ登録