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投資用アパートを「キャッシュで一括購入」したが…年収8,000万円・美容整形外科院長が大後悔したワケ

富裕層は手元資金が豊富で忙しい人が多く、投資用物件の紹介を不動産仲介業者に丸投げする人が少なくありません。しかし、そのようなやり方で不動産投資を始めると、のちのち大きな後悔をすることも……。少しの事前知識だけで、あとは「業者にいわれるがまま」アパートを購入してしまった医師の事例から、不動産投資の成功に必要な考え方をみていきましょう。

8,000万円の物件をキャッシュで一括購入したAさん

Aさんは、美容整形外科医院の院長を務めています。幸いなことにコロナ禍でもさほど苦戦を強いられず、日常生活の正常化とともにさらに業績は急伸。現在の年収は約8,000万円で、個人的な資産も着実に増えています。

知り合いの医師に「そんなに稼ぎがあるんなら、現金・預貯金偏重は将来の相続税対策としてもよくないと思う」と進言され、1棟建て賃貸アパートの購入を検討し始めました。

ただ、本業が多忙を極めているため、不動産投資について勉強したり、物件を見て回ったりする時間をなかなか確保することができません。信頼のおけそうな不動産会社に「手元に3億円程度の余裕資金があるから、その約半分程度を予算に優良物件を探してほしい」と伝え、物件の条件設定やリサーチはすべて任せてしまいました。

すると、すぐに不動産会社がいくつかの物件をリストアップしてくれたので、Aさんはそのなかから2018年竣工という築浅のアパート(東京都23区内)を選択。価格は約8,000万円と予算内だったことから、キャッシュで一括購入しました。

お買い得な物件を手に入れたと悦に入ったAさんは、すでにいくつものアパートを所有している知人にその話を自慢。すると、知人は呆れ顔でこう苦言を呈したのです。

「全額キャッシュなんて、投資効率が悪すぎるよ。手元の資金が潤沢でも、あえてローンを活用するべきでしょ」

このように指摘されても、Aさんは知人の真意をすぐには理解できませんでした。ローンを組めば利息を負担することになるうえ、全額をキャッシュで支払っても手元にはまだ約7,000万円の資金が残っているわけですから、無理もないことかもしれません。

大金持ちの資産家でも「あえてローン」を選ぶケース

「キャッシュで一括購入は投資効率が悪い」という知人の指摘は、具体的にどのようなことを意味しているのでしょうか?

まず、アパートの購入代金を一括で支払えば、当然ながらその分だけ手元の資金が一気に減ってしまいます。Aさんは念頭に置いていないかもしれませんが、設備の交換や修繕などといった突発的な出費があった場合、Aさんが予算よりも安く買えて浮いた分のお金(約7,000万円)が減ってしまうことになります。

もちろん、Aさんが考えているとおり、キャッシュで購入すれば利息の支払いは発生しません。加えて、ローンを組んだ場合は返済額分を差し引いた正味の利回り(返済後利回り)が低下してしまいますので、その点においても全額キャッシュ購入のケースのほうが有利だといえるでしょう。

ただ、Aさんの知人が指摘したようにキャッシュによる一括払いは、最初に投じた資金の回収に長い時間を要するため、その分だけ投資効率が悪くなるのも確かです。

ローンを活用して“レバレッジを効かせる”という手法

たとえば、4,000万円を頭金として残りをローンで調達し、Aさんが購入したものとほぼ同等の物件を2棟所有するという発想があります。そうすれば、同じく8,000万円の自己資金投入でも、ローンの返済分を差し引いたうえで収益性は向上します。

ローンの活用で投入した資金(頭金)の何倍もの価格の物件を所有できることを、投資の世界では「レバレッジ(テコの原理)を効かせる」と表現します。複数棟をすべて一括で購入できるような資産家のあいだでも、あえてローンを用いてレバレッジを効かせた投資を行っているケースが見受けられます。

先述したように、全額キャッシュで購入することにもメリットがあります。多数の賃貸不動産を所有している資産家の方々は、資産構成や投資の目的などに応じて、キャッシュによる購入とローンの活用を上手く使いわけているのでしょう。

いずれにせよ、投資に対するリスクを鑑みて自己資金を拠出することが重要です。

ローン活用は「税金対策」にも有効

ローンを利用した場合、利息の支払いが生じるため、その分だけ手元のお金を減らすことに抵抗を感じるかもしれません。たしかにそれは事実ですが、利息の負担分は経費として計上でき、家賃収入から差し引いて課税所得を減らすことができます。

つまり、節税という観点からも、不動産投資でローンを活用することには妙味があるわけです。無論、すでに賃貸アパート経営に取り組んでいる資産家の多くは、こうしたメリットにも着目しています。

プロ任せは危険…自身でも慎重な物件選びを

Aさんの失敗は、安易にキャッシュでの購入を決めたことにあります。そのような行動を取ってしまったのは、不動産投資のことがまったくわかっていなかったからでしょう。さらに、必要最低限の知識を身につけようともせず、漠然とした希望の条件をもとに、物件探しを不動産会社に丸投げしたことも賢明ではなかったといえます。

物件を選ぶ際には、販売価格や利回りだけでなく、立地や建物・設備の状態、周辺の環境など、さまざまな角度からシビアにチェックする必要があります。加えて1棟丸ごと購入できる資金が手元にあったとしても、投資効率を高めることを目的に、あえてローンを活用するというのも一考です。

こうした基礎知識が伴っていれば、不動産会社に紹介された物件のなかから“本当に収益性の高いもの”を選ぶことが可能となります。

また、不動産会社選びも重要です。単に顧客が提示した条件を満たす物件を機械的に紹介する不動産会社ではなく、資産運用の一環として自身に寄り添い適切に助言してくれる「最良のパートナー」を見つけ出すことが、アパート経営を成功に導く第1歩です。

アパート経営オンライン編集部

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