資金繰りがピンチに!ローン返済条件は変更できるのか
融資やローンを利用する人に求められるもの、それは「滞りなく返済する」という、金融機関への確約です。しかし、自然災害や競合物件の登場など、突然の出来事で空室が増加し、返済資金の確保が出来ず、返済が難しくなることは誰にでも起こり得ます。資金繰りに窮して自己破産に追い込まれてしまう前に、当初の融資条件を変更することはできるのでしょうか。今回は「ローン返済条件の変更」に焦点を当てて見ていきましょう。
返済資金が確保できなくなる原因は…
一般的に、資金繰りがショートする原因としては、以下が考えられます。
- 空室の増加
- 予定外の修繕発生
- 実際の物件価値よりも高い値段で物件を購入してしまった
- 「減価償却期間」の終了で税金が上がってしまった
- 組んだローンが高金利だった
- 自己資金が不足していた
なかには、「自己資金ゼロで始められる」という触れ込みで、アパート投資を始めた人もいることでしょう。しかし、少ない自己資金でアパート経営を始めた場合、毎月のローン返済額が大きくなり、長期間にわたって収支を圧迫してしまうことが考えられます。
債務者の権利「期限の利益」をまずは理解する
債務者には、「期限の利益」という権利があり、借り入れた金額の最終弁済期日(支払期限)までは確実に返済を待ってもらうことができます。
そのため、債務者から「返済条件を変更したい」といった申し出があった場合、銀行側は、1回あたりの返済金額を減らし、最終弁済期日の金額を大きくするといった手法をとることが一般的です。これなら、銀行側は最終弁済期日を過ぎた場合に貸付金を全額請求できるため、リスクが少なくて済みます。
一方で、融資期間は簡単に変更できるものではないので注意が必要です。銀行側にとっては自らの請求権まで延長することになるので、期日の延長にはとても慎重なのです。また、当然ながら「退去者が出ていって返済目途が立たない」「ギャンブルで貯金が底をついてしまった」といった一方的な言い分では、返済条件を変えることは極めて難しくなるので気をつけましょう。
困ったら、すぐに借入先の銀行へ相談する
しかしながら、コロナ禍に陥っている現在、ローン返済において苦境に立たされている方が多いのも事実でしょう。まずは一人で抱え込まずに、ご自身の状況について銀行の担当者に相談してみてください。しっかりと説明をすれば、場合によっては融資期間の延長まで応じてもらえるかもしれません。次に紹介するのは、真摯な姿勢を評価され、返済条件の変更まで漕ぎ付けたAさんのケースです。
◆Aさんの場合
相続によって、築20年の賃貸アパートを親戚から引き継いだAさん。しかし、入居率はわずか50%ほどで、賃料収入だけではとても毎月の返済に追い付きません。そう、親戚の方は生前、金融資産を取り崩して返済を続けていたのです。
その事実を知ったAさんは、急いで銀行に相談。担当者は、まずキャッシュフローの改善を行うべく毎月の返済金額の減額を提案しました。
同時に、賃料収入を増やすことを目的に、信頼できる管理業者をAさんに紹介。そして、なぜ入居率が悪いのかをAさん、銀行、管理業者の三者間で検討してみることに――。
その結果
①定期的な修繕がされずに劣化している
②清掃や管理が行き届いていない
③防犯対策がない
上記の問題点が浮き上がってきました。
②は管理業者の変更により解決できますが、①と③についてはどうしても費用が必要です。しかし、Aさんにはそれだけの金額を用立てる余裕はありません。そこで事業計画を綿密に練って、銀行側に提出することにしたのです。
結果、銀行はAさんの真摯な姿勢と管理業者の的確なリフォーム提案により、必要費用があれば入居率は改善し、返済できるものと判断。新たな融資と既存の借入金を一本化し、期間20年の新規融資にて借り換えできることになりました。
Aさんが返済条件を変更できた理由として、2つのポイントがあります。
1.すぐに相談をする
Aさんは「返済が追いつかない」と判断した段階で、すぐ銀行に相談しています。「もしかしたら断られるかもしれない」という不安がある方も多いことでしょうが、まずは一人で抱え込まず、プロに相談する必要があるのです。
2.信頼できる管理業者との出会い
Aさんは、返済金額を減らし、その間に管理業者とともに事業計画を練ることで早期に対策を考えることができました。しっかりと理屈の通った計画書があれば、銀行側の対応も変わってくることでしょう。
「ローンを返せなくなったら破産するしかない」と考えずに、まずは銀行に相談してみましょう。アパート経営は事業であり、運営の巧拙が大きく影響します。銀行や管理業者と日頃からコミュニケーションを円滑にしておくと、有事の際も、このように手助けを得られるのです。
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