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地震、大雨、強風による物件破損…アパートオーナーが抱える「自然災害」リスク

地震、大雨、強風による物件破損…アパートオーナーが抱える「自然災害」リスク

「安定的に家賃収入が入る」「税金対策になる」等の点から人気を集めるアパート経営。しかし、不動産経営にはリスクがつきものです。自然災害が多い日本では、特に「災害リスク」について理解しておく必要があります。

アパートオーナーとして、自然災害にどう備えるか、そして災害に遭った場合、どう対応すべきか確認しておきましょう。

経営するアパートに地震でヒビが…オーナーの苦悩

Aさんがアパート経営をはじめて3年目に震度5の地震が発生し、アパートの外壁にヒビが入ってしまいました。

住民から「すぐに改修工事をしてほしい」という訴えが出ている、と管理会社から伝えられたAさん。大きな地震が発生する可能性は低いだろうと考えていたため、保険には加入していません。

予定外の修理費用により「ローンの返済が滞ってしまうのではないか」と不安になってしまいました。

アパートオーナーのリスクについて

アパート経営のリスクには大きく分けて以下の3つがあります。

  • 自然災害リスク
  • 家賃滞納リスク
  • 空室リスク

空室や家賃滞納などは管理会社や賃貸保証会社を利用することでリスク回避できますが、いつ発生するかも分からない「自然災害」は、回避することができません。

では、自然災害が起こった際、アパートオーナーはどのように対処すればいいのでしょうか。

自然災害での被害、誰に修繕義務がある?

民法第606条では「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う」と定められています。つまり、この点から見るに、修繕義務があるのは「賃貸人」であるアパートオーナーということになります。

アパートオーナーには原則、建物を安心して住めるような状態に整えてから入居してもらう、という義務があるのです(※1)。

自然災害被害を補償する保険への加入を

自然災害で被害を受けた対象が入居者の家財(家具・家電)である場合、原則アパートオーナーに補償の義務はありません(※2)。しかし、所有するアパートそのものが被害を受けた場合の修繕義務は、オーナーにあります。

日本は自然災害の多い国です。いつ被害に遭うかわからないため、アパート経営をする際は、そうした災害に備える保険への加入を検討しましょう。

自然災害に対応できる保険は主に次の2つです。

  • 火災保険
  • 地震保険

ただし、地震保険は火災保険とセットで契約する必要があります。さらに、補償の上限は火災保険の50%で、地震で建物が全損した場合でも100%の補償は受けられないことを覚えておきましょう。だからこそ、地震被害に備えるためには火災保険とセットの特約を付けて補償額を拡大することが大切なのです。

なお「火災保険」でカバーできるのは以下のような被害です。

  • 火災(地震が原因の火災は除く)
  • 水漏れ(給排水管からの水漏れ)
  • 建物外部からの落下物による事故
  • ガス漏れが原因の爆発
  • 風災・雪災などでの建物破損
  • 水災
  • 落雷

ほかにも災害補償として、家賃収入が減った場合に備えた「家賃補償保険」があります。定期的に見直しを行い、必要な保険に加入できているか確認しましょう。

リスク軽減のためにも管理会社選びは慎重に!

自然災害リスクを最小限に抑えるためには、信頼できる管理会社との出合いも重要です。日頃から物件のメンテナンスができていれば、万が一の場合、被害を最小限に抑えることができます。例えば、自然災害による被害を抑えるのであれば、以下の点に気をつけて管理会社を探しましょう。

・日頃からアパートの見回りをし、瑕疵や不備のチェックをしてくれるか?
・アパートに瑕疵があった場合、修繕のアドバイスをくれるか?
・台風など、自然災害の予報が出た場合は現地に赴き、排水回りのチェックや共有部分の窓閉めなどを担ってくれるか?
・自然災害発生時に被害状況の情報収集をしてくれるか?
・アパートに被害が及びそうなとき、住人に避難を促す働きかけをしてくれるか?
・自然災害が過ぎた後、安全確認を怠らないか?

日ごろからアパートを見回り、「瑕疵」の有無をチェックしてくれる会社を選ぶと安心でしょう。

アパート経営において、自然災害リスクをゼロにすることはできません。しかし、物件の管理や保険加入によって被害を最小限に抑えることは可能です。そのためにも密にコミュニケーションが取れ、信頼できる管理会社に依頼する必要があります。また、自然災害の被害によってローンの支払いに不安を感じることがあれば、すぐに銀行の担当者に相談するようにしましょう。

(※1)例外的な場合として、賃借人が大修繕についても修繕義務を負担する特約を設定した場合は、オーナーは修繕する義務を逃れることができます。

(※2)賃借人の家財に被害が出た原因が、賃貸人の修繕を怠ったことである場合、家財についても賃貸人に補償する義務が発生する場合があります。

たとえば、賃借人がオーナに対して雨漏りの修繕を依頼していたがなかなか修繕されず、大型台風などによって雨漏りがひどくなり家財に被害が出たといった場合には、修繕義務を果たしていなかった賃貸人の責任と判断されることがあり得ます。

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監修:北村 亮典氏(こすぎ法律事務所 弁護士)

監修:北村 亮典氏(こすぎ法律事務所 弁護士)

慶應義塾大学大学院法務研究科卒業。神奈川県弁護士会に弁護士登録後、主に不動産・建築業の顧問業務を中心とする弁護士法人に所属し、2010年4月1日、川崎市武蔵小杉駅にこすぎ法律事務所を開設。


現在は、不動産取引に関わる紛争解決(借地、賃貸管理、建築トラブル)、不動産が関係する相続問題、個人・法人の倒産処理等に注力している。


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