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空き部屋を子供に無償で貸す…賃料分の赤字は「経費」になる?

不動産投資は、家賃などの収入に加えて、税金の面でもさまざまなメリットを享受できる一方、経費計上の境界線など、注意すべき点もいくつかあると、多賀谷会計事務所の宮路幸人税理士はいいます。不動産投資、特に中古アパート一棟投資の具体的なメリット、デメリットについて、詳しくみていきましょう。

不動産所得で収入、経費として計上できるもの

まず、不動産の賃貸経営をする場合において、不動産所得とは、不動産収入から必要経費を引いた金額となります。

収入は主に、賃料・礼金・更新料などです。一方、必要経費とは、建物等に係る減価償却費や固定資産税、火災保険料、修繕費、支払利息などが挙げられます。

これら収入から必要経費を差し引いた額が、不動産所得として計上されるのです。

不動産投資が赤字の場合…「損益通算」が可能

税金対策として、不動産投資セミナーなどで盛んに言われるのが、不動産所得で赤字を出し、他の所得と損益通算するというものです。

たとえば、課税所得が900万円を超えた場合、所得税率33%+住民税率10%=合計43%が税金として課税されます。また課税所得が1,800万を超える場合は合計50%が、課税所得が4,000万円を超える場合は合計55%が課税されることとなります。

このように、課税所得が900万円を超えたあたりから重税感を感じ始めるため、なんらかの節税対策はないだろうかと感じる方が増えてきます。

このため、不動産投資をすることにより、不動産所得は赤字とし、事業所得や給与所得などの他の所得と通算すると、不動産所得の赤字分の、税金の還付を受けることができるため、このような節税方法がすすめられています。

要注意…なかには「経費」として計上されないケースも

賃貸物件で赤字を出した場合、すべて認められるかというと、そうではありません。

たとえば、空き部屋を子供に無償で貸した場合はどうでしょうか?

結論としては、その部屋に係る修繕費をはじめ、かかった費用は経費として認められず、その赤字は損益通算もできません。

なぜなら、所有物件の空き部屋を子供に無償で貸した場合、「自家用」とみなされるからです。

不動産が「相続対策」に適しているワケ

では、不動産投資が「相続対策に適している」とよくいわれるのは何故でしょうか?

その理由は、相続税の評価方法にあります。たとえば1億円を現金で相続した場合、相続税の課税対象額は1億円となりますが、不動産投資により土地を取得しておいた場合、相続税評価額は路線価により評価されます。この路線価の評価額は時価のおおむね8割程度といわれています。つまり、1億円の土地を購入した場合、相続税評価額は8,000万円程度となり、2,000万円ほど相続税評価額が圧縮されます。

建物についてはもっと節税効果が大きく、建物の構造等にもよりますが、1億円の建物を購入した場合、おおむね購入価額の5~7割程度、つまり5,000万円から7,000万円程度の相続税評価額となります。この評価額の圧縮額が相続税対策となります。

そのようななか、相続税対策として有効だといわれているのが、中古一棟アパートです。

耐用年数が中古の木造は22年、軽量鉄骨造りの場合耐用年数27年となっていますが、この耐用年数を超えた物件を購入した場合、税法上木造の場合は耐用年数を4年、軽量鉄骨造りの場合5年で減価償却することが可能となります。短期間で建物の減価償却費を大きく計上することが出来るため、節税に有利とされています。

そのほか、中古一棟アパートのメリットとしては、新築物件に比べ利回りが高い、すでに入居者がいる状態で購入できる、賃料が安定しているなどがメリットといわれています。

一方、デメリットとして経年劣化による修繕費リスクなどもあることも知っておいてください。

上記で述べたように、不動産投資、特に中古アパート一棟投資は、損益通算による所得税・住民税の圧縮効果、相続税対策における相続税評価額の圧縮効果などがあり、税金対策としては非常に有効な手段であると思います。

相続税の基礎控除の改正が平成27年から従来の6割に圧縮されたことにより、相続税の対象者が倍増することとなりました。特に都心近くに不動産を所有している場合に顕著となり、相続税対策として不動産投資が適していると盛んにいわれるようになりました。

不動産投資において気を付けるべきリスクとは

不動産投資はうまく利用することができた場合、節税対策として非常に有効ではありますが、注意していただきたい点があります。

不動産投資は投資目的でもあるため、その収益性は立地に大きく影響されることとなります。せっかく収益物件として不動産投資をしても、その後空室が多くなるようでしたら、逆に負債となるような事態もあります。このため収益物件を購入する場合はその後の収益性についてよく検討すべきでしょう。

たとえば都心に近く、さらに駅近という集客力のある物件であれば、空室リスクを下げることができます。

近年、主に相続税対策としてサブリース会社を利用し、借金をして賃貸物件を購入するというのが盛んにもてはやされました。しかし購入後思うように埋まらず空室が増え、サブリース会社からサブリース料を減額され、借金が返せなくなり物件を失うというケースもあります。

また、かぼちゃの馬車事件のようにサブリース会社自体が破綻するようなケースもありました。

不動産の収益物件を購入する場合には、節税対策としてのメリットもありますが、投資物件の立地等をよく検討し、空室リスクや、借入をして不動産を購入する場合は借入返済リスクもよく考慮し、不動産投資により破綻することのないよう無理のない計画を立てることが大切です。

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監修:宮路 幸人氏(多賀谷会計事務所 税理士 CFP)

監修:宮路 幸人氏(多賀谷会計事務所 税理士 CFP)

会計事務所における長い勤務経験・豊富な実務経験により、会計処理・税務処理及び経営や税務の相談など、様々な問題に対応。

強みのある領域は不動産と相続関連。特に相続問題では、税金面だけでなく、家族が幸せになれるトータルな提案を重視している。宅地建物取引士、マンション管理士等の資格も保有。

常にフットワークを軽く、お客様のニーズに応えるのがモットー。離島支援活動も積極的に行っている。


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アパート経営オンライン編集部

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