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2026年からの賃貸経営…30年ぶりの政策金利0.75%でみえた、中古アパートの優位性

2025年12月、日本銀行が踏み切った政策金利0.75%への引き上げ。約30年ぶりの大きな転換点を迎え、不動産投資市場には緊張が走っています。メディアでは「金利上昇によって不動産投資は終わるのか?」といった悲観的なトーンの報道も散見されるなか、私たちはこの変化をどう捉えるべきでしょうか。本記事では、マクロ経済の動向と不動産実務の両面に精通した不動産コンサルタント/不動産専門税理士・大浦智志氏が、あえていま「中古アパート」に注目すべき理由を解説します。数字の裏側にある「真の資産価値」とは?

経済の「正常化」と中古アパートの優位性

政策金利の引き上げを受け、不動産投資への悲観論も聞こえてきますが、不動産市場の最前線からマクロ経済とミクロな市況を俯瞰すると、まったく異なる景色がみえてきます。

結論からいえば、金利のある世界への移行は「経済の正常化」です。インフレが定着しつつある現在の日本において、実物資産である不動産、とりわけ「中古アパート」の優位性はむしろ高まっているといえるでしょう。その理由を紐解いていきます。

名目金利上昇の裏にある「実質金利の低さ」とインフレの恩恵

金利上昇と聞くと、借入コストの増加にばかり目が行きがちですが、投資判断において本当に直視すべきは「名目金利」ではなく「実質金利」です。

実質金利とは、表面的な金利(名目金利)から物価上昇率(インフレ率)を差し引いたものを指します。現在、日本の物価は継続的に上昇しており、インフレ率を考慮すれば、実質金利は依然として極めて低い、あるいはマイナスの状態にあります。

インフレ下においては、現金の価値が目減りしていく一方で、借入金(債務)の実質的な負担も同時に目減りしていきます。つまり、低い実質金利で資金を調達し、インフレに連動して価値が上がりやすい実物資産(不動産)に換えておくことは、資産防衛の基本にして定石なのです。金利上昇という目先のニュースに一喜一憂するのではなく、「インフレ下でのレバレッジ効果」を冷静に評価することが、これからの不動産投資家には求められます。

建築費高騰で注目すべきは、中古アパートの「再調達価格」

現在の不動産市場を語るうえで欠かせないのが、慢性的な人手不足や資材価格の高騰による「新築建築費の劇的な上昇」です。これにより、新築アパートで十分な事業収支(利回り)を確保することは年々困難になっています。

そこで着目すべき指標が「再調達価格(いま、まったく同じ建物を新築したらいくらかかるか)」です。過去の比較的安い建築費で建てられた「中古アパート」を現在の再調達価格と比較すると、非常に割安な水準に位置している物件が存在します。新築の供給が絞られ、価格が高止まりするなか、既存物件の相対的な資産価値は高まっているのです。

ただし、ここで注意しなければならないのは「中古であればなんでも割安だ」と安易に飛びつくのは極めて危険であるという点です。築年数、建物の劣化具合、過去の修繕履歴によって、物件の真の価値は大きく異なります。

新築との「価格ギャップ」というメリットと、将来発生する「修繕コスト」のリスクを冷静に天秤にかけましょう。再調達価格からみて「真に割安」といえる物件を見極める厳しい選定眼こそが、中古アパート投資の成否をわける最大の鍵となります。

「管理・運営の質」による差別化がより重要視されるワケ

インフレと金利上昇が共存するフェーズでは、不動産経営のあり方も変化を求められます。これまでの超低金利時代は、極論をいえば「買えば利益が出る」という相場環境の恩恵を受けやすい時代でした。しかしこれからは、上昇する金利コストや維持管理費をカバーし、それ以上の収益を生み出す「経営力」が問われます。

具体的には、インフレに合わせて適切に「家賃を維持・転嫁(値上げ)できるか」が重要です。そのためには、ただ物件を所有するだけでなく、継続的な賃貸需要が見込める「立地の選定」が大前提となります。

さらに、入居者のニーズを捉えた適切なリノベーションや、迅速なトラブル対応など、入居者満足度を高める「管理・運営の質」が不可欠です。物件の魅力が高まれば、退去を防ぎ、相場に合わせた適正な家賃設定が可能になります。これからの賃貸経営は、金融工学的なアプローチだけでなく、泥臭い「事業」としての手腕が物件間の格差を大きく広げていくでしょう。

過剰なレバレッジからの脱却、健全な賃貸経営への回帰へ

政策金利0.75%への移行は、不動産投資の終わりを意味するものではありません。むしろ、無理な借入や過剰なレバレッジに頼った投機的な動きが淘汰され、本来あるべき「健全な賃貸経営」へと回帰していく健全化のプロセスといえます。

既存オーナーの方は、これを機に保有物件の競争力を見直し、借り換え余地を含めたポートフォリオの再点検を行うべきタイミングです。また、これから新規で参入を検討される方は、インフレ耐性があり、再調達価格の観点から資産性の高い「優良な中古アパート」を厳選することをお勧めします。

そしてなにより重要なのは、こうした変化の激しい時代において、不動産事業に対する深い理解と、投資家に寄り添うスタンスを持つ「信頼できる金融機関」をパートナーに選ぶことです。 マクロ経済の波を味方につけ、本質的な価値を持つ物件を見極め、適切な管理運営を行う。この基本を徹底できる投資家にとって、現在の中古アパート市場は、極めて魅力的なチャンスに満ちているのです。

大浦 智志(コネクトコンサルティング株式会社 代表取締役)

大浦 智志(コネクトコンサルティング株式会社 代表取締役)

・税理士

・マンション管理士

・税理士法人アイム会計事務所 社員税理士

・(一社)神奈川県マンション管理士会、湘南支部 所属

・東京地方税理士会、戸塚支部 所属


営繕工事担当から業界に入り、管理営業、フロント担当、管理職(損害代理店業務含む)と転職を通じて、独立系・開発会社系を問わず、分譲マンション管理会社にて約15年間勤務。100以上の管理組合の理事会・総会に出席。

3.11震災を機に、メインキャリアのチェンジを決意し、準備期間を経て、税理士試験に挑戦。

簿記論・財務諸表論・消費税法に合格。2018年3月に名古屋商科大学大学院 会計ファイナンス研究科 税法学コース修了。修士(経営学)、Master of Business Administration(MBA)。


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