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アパート経営…オーナーが知っておくべき「出口戦略」の考え方

アパート経営…オーナーが知っておくべき「出口戦略」の考え方

アパート経営を始めたばかりのオーナーは、管理や空室といった問題に目を向けがちなものです。しかし、早いうちから「最終的にこの物件をどうするか」といった将来の見通しを立てることはアパート経営において非常に重要だといえます。そこで今回は、アパート経営の「出口戦略」の選択肢について解説していきます。

選択肢①売却

「まとまったお金が手に入る」といった理由から、多くの人が選ぶのが「売却」です。実施にあたっては以下のような手順を踏みます。

  • 査定をしてもらう
  • 不動産会社と媒介契約を結ぶ
  • 売却活動と売買契約
  • 引渡し
  • 確定申告

アパートの売却では、始めに「どのくらいの金額で売れるか」を知ることが大切です。適正価格を知るために、査定は複数の不動産会社に依頼することをおすすめします。また、査定だけに頼らず、自ら近隣の相場を調べてみるのもよいでしょう。

査定後、売却を任せたい不動産会社が見つかったら売買契約を結びます。契約自体に費用は掛かりませんが、契約が成立したら不動産会社へ報酬が発生します。

契約方法は3種類あります(※報酬額に差異なし)。

  • 一般媒介契約:複数の不動産会社に依頼する契約方法
  • 専任媒介契約:1つの不動産会社に依頼する契約方法 
    ※14日に1度以上の販売活動報告あり
  • 専属専任媒介契約:1つの不動産会社に依頼する契約方法
    ※7日に1度以上の販売活動報告あり

専任媒介契約、専属専任媒介契約は、販売活動を1社に任せることができ、かつ活動報告義務があるため、一般媒介契約よりも売却が早く成立する傾向があります。売却活動を経て買い手が見つかったら、売買契約を結び、いよいよ引渡しです。

「売却」は費用に要注意

売却にはデメリットも存在します。

たとえば「劣化した物件は希望価格で買い取ってもらいにくい」点です。アパートがきれいな状態であればそのまま売却しても売買成立につながりやすいものの、物件自体が古い場合は「リノベーション」して付加価値を付けたり、更地にしたりする必要があります。改築や解体には、数百万~数千万円の費用を要します。

そもそも、売却には以下のような支払いが発生するものです。

  • 測量関連費用
  • 不動産仲介手数料
  • 印紙代
  • 抵当権抹消費用
  • 譲渡所得税
  • 入居者の立ち退き料

つまり、高値で売却する一番のコツは、賃貸物件の価値を保つことだといえるでしょう。

また、ローン返済中の場合、残債額によっては売却しても代金はローンの返済にあてられ手許に資金残らない場合もあるので注意が必要です。

アパートを売却すると翌年の3月15日までに確定申告をする必要があります(※自然災害、感染症の影響で確定申告の日程が変わる場合も)。その際、売却益が生じたら「譲渡所得税」を支払わなければなりませんが、これは他の総合課税の所得と損益通算することができません。アパ-トの売却の場合、マイホームを売却した時に受けられる「3000万円特別控除」等の優遇措置がないため、注意が必要です。

選択肢②生前贈与する

アパートを生前贈与する場合は、建物だけを贈与するケースが一般的です。もともと家賃収入を生むのは「アパートの建物」だけなので、贈与税を抑えるために、土地は贈与しないオーナーが多いのです。

建物を生前贈与する場合に検討したいのが「相続時精算課税制度」です。原則として60歳以上の父母、または祖父母から、20歳以上の子、または孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度で、控除額は2,500万円となります。

ただし、この制度を選択すると、以降の贈与に関して、すべてこの制度が適用されるようになり、「暦年課税」へ変更することはできなくなります。相続税対策としてよく知られた、「110万円までの生前贈与」は使えなくなるので、注意が必要です。

なお、建物だけを贈与した場合、土地は相続財産として遺産分割の対象になるため、遺言書に、土地はアパートを贈与した子に相続させる旨を書いておく必要があります。

アパートを生前贈与するメリット

1.贈与財産の評価額が低く抑えられる

同じ価値の現金とアパートを贈与した場合、アパートの建物のほうが評価額が低くなるので、贈与税も少なくてすみます。現金はその金額そのものが贈与税の対象となりますが、アパートの建物の評価額は、固定資産税評価額と同じです。

アパート取得時の固定資産税評価額は、時価のおおむね50~60%程度と低く抑えられています。さらに、アパートは贈与税の評価上、貸家として扱われるため、固定資産税評価額から借家権割合30%を差引くことができます。

ただし、賃貸物件の敷金も引き継がせると負担付贈与に該当し、時価評価が原則となりますのでご注意ください。贈与時に敷金等相当分の現金も同時に贈与するとよいでしょう。

2.贈与後の賃貸収入は子のものになる

親がアパート経営を続けると家賃収入が貯まっていくので、親の財産はますます膨らんでいきます。その結果、相続財産も増加し、相続税は高くなります。アパートを生前贈与することで、親の財産の増加を抑えることにつながるのです。

子が親の生前から家賃収入を得ることにより、相続税の資金準備をしておくこともできます。

3.所得分散することができる

親の所得が高い場合、累進課税により所得税も高額になることが多いのですが、生前贈与することにより、親の所得の一部を子に分散し、親の所得を減らすことができます。子の所得にもよりますが、アパートを生前贈与して親と子の税金の合計額が低くなるようであれば、所得分散の効果があります。

4.相続争いを回避できる

相続後に財産分割をすると、相続人同士で遺産争いになる可能性があります。しかしアパートを生前に贈与してしまえば、少なくともそのアパートは、親が引き継がせたい子に渡しておくことができます。

上記のように得られるメリットは多いものの、不動産取得税や専門家への報酬の支払いが発生する等、デメリットもあるので検討が必要です。

売却をして自身の老後資金を増やす、生前贈与で大切な家族に資産としてアパートを承継する、「出口戦略」の正解は人それぞれです。自身の目的に合わせて戦略を考えることが重要だといえるでしょう。

野村・多賀谷会計事務所
税理士
AFP

宮路 幸人氏 監修

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