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32歳・年収3000万円の開業医「アパート経営」で得られる利益は?

アパート投資で失敗しないために…信用できる「不動産会社」の選び方

現在、資産運用の一手法として、「アパート投資」に注目する投資家が増加しています。本記事では、アパート経営で実際どの程度の利益を得られるのか、事例をもとにシミュレーションしていきます。

年収3000万円・医師のAさん「資産運用」を目的にアパート経営を検討

Aさんは32歳の開業医。趣味がなく、お金の使い道が特にないため、収入の大半は預貯金に回しています。ある日、医師の友人から勧められたことをきっかけに、アパート経営に興味を持ちました。 医師とはいえ将来は不安、ただ預貯金をするよりも、投資をして資産を増やしたいと考えたのです。そこで友人と同じ不動産会社に相談にいったところ、下記の物件を紹介されました。

物件詳細

【沿線交通】東高円寺駅から徒歩10分程度
【販売価格(諸経費込)】1
1,000万円
【想定利回り】7.6%
【建物構造】木造
【築年数】4

【戸数】10
戸(購入時8戸が埋まっており、契約更新時期が近い入居者が2組)
【家賃設定】7
万円

表面利回りの計算方法は以下の通りです。

満室時の年間の家賃収入÷物件の購入価格×100 

こちらに先ほどの数字を当てはめると、次のようになります。

840万円 ÷ 1億1,000万円×100=7.63…
※小数第4位以下切り捨て

すっかり乗り気になり、資料を持ち帰ったAさんでしたが、ある疑問を抱きます。

「高利回りだと喜んでいたけれど、実際手元にどのくらい利益が残るものなのだろうか……」

気になったAさんは、まずアパート経営に必要な経費を調べてみることにしました。

アパート経営に必要な経費

物件ごとに必要な経費は異なるものですが、本記事ではAさんが購入を検討している物件の経費について考えてみます。

【諸経費…9万5,000円/月】

(内訳)
●共用部分の光熱費:5,000円
●定期清掃費:5,000円
●管理会社への管理利用:49,000円/月(家賃の7%×10室で計上)
●修繕費の積立:35,000円/月(約5年ごとに100~300万円の費用が掛かる想定)
●火災保険:1,000円/月(水災補償なし)
●原状回復費…10万円(退去者2人分で計上)
●不動産会社への広告料…14万円(入居者2人分で計上)

計:138万円/年

では、年間の諸経費を用いて実質利回りを計算してみましょう。実質利回りの計算方法は以下の通りです。

(年間の家賃収入-年間の諸経費)÷(物件の購入価格+購入時の諸経費)×100=実質利回り

こちらに先ほどの数字を当てはめると、次のようになります。

[840万円-138万円]÷[1億1,000万円]×100=6.38…
※小数第4位以下切り捨て

これを踏まえ、Aさんは以下のようなローン返済プランを持って、銀行に融資の相談にいくことにしました。

ローン返済プラン

年数:25年間
金利:3.0%(全期間)
月返済額:37万9,369円自己資金:3,000万円

上記の例においてAさんは、年間840万円の収入に対して、経費として138万円、銀行へのローン返済元利金として約456万円を支払うこととなり、手元に残るお金は単純計算で246万円となります。

しかし気を付けなければならない点があります。

それは、

(1)賃料収入は空室の発生や経年劣化により減ること
(2)経費は思わぬ修繕費等の発生により増えること
(3)金利は将来的には上昇する可能性があること(=支払い金利が増える)

上記の3つです。これらのリスクに対して、適切な対応と準備をしておく必要があります。

投資初心者が知っておくべき「アパート経営」のリスク

Aさんは今回「実質利回り」に注目して返済プランを考えました。プラン通りの返済を続けるためには、経営上のリスクを知っておく必要があるでしょう。

①経年劣化による家賃の下落リスク

新築アパートは「新築プレミア価格」として、相場より高い家賃設定をするオーナーが少なくありません。しかし、新築でなくなったとき、当初の家賃収入を継続して得られる物件は少ないでしょう。そのため、最初の家賃設定が適切かどうか、また、中古物件の場合は間取りや設備が入居者ニーズに沿った物件かどうか確認しておく必要があるでしょう。一般的に新築物件の家賃は10年で約30%下落するといわれています。それを想定して、返済プランを考えることが重要です。

②修繕リスク

予想外の出費が発生すると、ローンの返済に支障が出ることが考えられます。そのため、物件購入時から、経年による建物の老朽化や設備の故障を意識しておく必要があります。また、入居者の入れ替えによる壁紙やフローリングの張り替えも、忘れずに計上しておきましょう。

一般的に銀行ローンは、賃料収入が減ったからといってローン返済額を減らせるものではありません。従って、可能な限り不測の事態に備えて現金をプールしておくことが重要です。

上記のほかにも災害リスクや市場環境の変化リスク、金利上昇リスクなど、多くのリスクが存在するアパート経営。成功のカギは事前の調査と返済プランの策定、不測の事態に備えた資金の管理プランが握っているといえるでしょう。不安な点があれば、不動産会社や銀行の融資担当者など、専門家に相談することも検討してみてください。

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