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離婚した妻と子には渡さない…所有不動産を「後妻とその子」だけに遺す方法【弁護士が解説】

賃貸経営者にとって、離婚時の所有不動産対策は非常に重要です。万が一賃貸アパートが前妻の子と後妻の子の共有になってしまった場合、将来的なトラブルの火種にもなりかねません。今回は、オーナーが「前妻や前妻との子どもには財産を遺したくない」と考えた場合の法的仕組みと対策方法について、不動産と相続を専門に取り扱う山村暢彦弁護士が解説します。

離婚時の前妻と子の相続…「子供」の相続対策に注意

賃貸オーナーで離婚歴・再婚歴がある方は、事前に相続対策を行わないと後々大変なことになるケースが多いです。

まず、前妻と離婚が成立しているのであれば、「相続」によって財産が移ることはありません。財産分与等ですでに財産の分配が済んでおり、「配偶者」ではなくなっていますから、相続人として考える必要はありません。

ただし、離婚したとしても「前妻の子」との関係は継続します。後妻の子でなくても、第1順位の相続人である「子」ですから、相続する権利が発生します。

仮に、オーナーがなんら対策せずに、前妻の子と後妻の子両方が賃貸アパートを含めた不動産を相続したとします。すんなりと分配が決まればよいですが、現実にはそうはいきません。

不動産の金銭評価は難しく、分配方法はなかなか決まりませんし、共有状態にしたまま賃貸経営を継続するのも困難です。単純に相続分に応じて賃料を分配するにしても、リフォーム時の費用や、賃貸アパート運営自体をどちらが負担するかなど、簡単に割り切れない問題が多く発生します。

さらに、相続人間で揉めてしまい、その解決のために数年を要するとなると、その間の入退去に対応できなくなります。

基本的に、共有状態で空室が発生した場合、次の入居者をつけるためには相続人間の合意が必要になりますから、揉めている状態で入退去だけを切り分けて考えるのは、現実として非常に困難でしょう。

後妻の子だけに不動産を残したいなら「遺言書作成」を

現状の相続法制では、「遺留分」という制度により相続人にまったく渡さないということはできません。

しかし、前述の賃貸アパート経営や共有問題を解消する対策としては「遺言書作成」が唯一できる対策ではないかと思います。

2019年の相続法改正により、遺留分は金銭的な効力しかもたず、物件の権利関係へ影響をおよぼすことがなくなりました。そのため、前妻の子と後妻の子が不動産の共有状態に陥るようであれば、生前に遺言書を作成し、後妻の子単独に相続させるようにしておきましょう。

それでも遺留分を請求される事態には陥りかねませんが、遺言書をのこしていれば遺留分のみを金銭で清算すればよいことになります。

共有状態の場合にはどちらか一方の意思のみで物件を売ることはできないものの、遺言書で単独相続にしておけば、相続した子が物件を売って解決するということが可能です。また、相続財産とは別に保険金等で金融資産を作っておけば、保険金で遺留分を清算し、解決することもできます。

そのほか遺言書以外の対策方法として考えられるとすれば、「生前贈与」です。会社の株式などにおいては、相続時「精算課税制度」と組み合わせて生前贈与が有効なケースはあります。しかし、単純な生前贈与では税金が多額に発生するケースもありうるため、注意が必要です。

また、「不動産の資産保有会社を創設し、その株式を移転する」というスキームもないわけではないですが、その手間やコスト、税務対策を絡めて検討する必要がありますので、この点は、税理士や弁護士等の専門家と事前に相談して方針を決めていく必要があるでしょう。

このようなケースは実際に多くの相談事例がある

弊所でも多くの賃貸経営者から相続の相談を受けていますが、前妻と後妻が絡む場合にはトラブルが発生し、弁護士マターになりがちです。

関係性が希薄な状態で相続財産のやり取りをするのはどうしても難しいため、再婚を経験している方は、相続対策には特に留意したほうがよいでしょう。

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山村 暢彦氏(山村法律事務所 代表弁護士)

山村 暢彦氏(山村法律事務所 代表弁護士)

専門は不動産法務、相続分野。実家の不動産トラブルをきっかけに弁護士を志し、現在も不動産法務に注力する。日々業務に励む中で「法律トラブルは、悪くなっても気づかない」という想いが強くなり、昨今では、FMラジオ出演、セミナー講師等にも力を入れ、不動産トラブルを減らすため、情報発信も積極的に行っている。


クライアントからは「相談しやすい」「いい意味で、弁護士らしくない」とのコメントが多い。不動産・相続のトラブルについて、自分ごとのように解決策を提案できることが何よりの喜び。


さらに不動産・相続法務に特化した業務に注力するため、2020年4月1日、不動産・相続専門事務所として山村法律事務所を開設。


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アパート経営オンライン編集部

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