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「これは経費で落ちますか?」…アパート経営に必要な“税金の知識”【税理士が解説】

アパート経営のメリットとしてよく挙げられるのが「税金対策」です。なんとなく聞いたことはあるものの、オーナー自身はあまり詳しく把握しておらず、税理士にほぼ「丸投げ」のアパートオーナーも少なくありません。そこで今回、税理士の宮路幸人氏が、アパート経営を行ううえで必要な“税金の基礎知識”を解説します。

アパート経営に必要な税金は3種類

アパート経営をするオーナーにとっても、税金は身近な問題であると思います。しかし、日々の賃貸業務等に追われ、税金については詳しく知らないという方も少なくありません。

アパート経営をする場合に知っておくべき税金について、簡単に説明します。不動産にかかる税金としては、大きく次の3種類に分類することができます。

1.賃貸アパートを取得したときにかかる税金
2.賃貸アパートを賃貸しているときにかかる税金
3.賃貸アパートを売却するときにかかる税金

それぞれどのような税金がかかるのか、また、その税金は経費となるのかということについて確認しましょう。

賃貸アパートを取得したときにかかる税金

①不動産取得税

賃貸アパートを購入したときは、不動産取得税が課税されます。

この計算式は課税標準額(固定資産税評価額)×税率=不動産取得税です。

土地と家屋(住宅)は3%、家屋(非住宅)は4%です。これには一定の軽減措置があります。不動産取得税は必要経費として計算されます(建物の取得費にすることも可)。

②登録免許税・印紙税

不動産を取得したときは、登記のための登録免許税もかかります。

登録免許税の計算式は課税標準額(固定資産税評価額)×税率=不動産取得税です。

住宅で一定の要件に該当する場合、軽減税率が適用されるため(土地は令和5年3月末まで、建物は令和6年3月末まで)、土地の税率は1.5%、住宅の税率は新築物件が0.15%、中古物件が0.3%です。

また不動産を購入したときは、売買契約書に印紙税がかかります。印紙税は契約金額により金額が異なります。令和6年3月31日までは、軽減税率が適用されます。登録免許税・印紙税は共に必要経費として計算されます(建物の取得費にすることも可)。

賃貸アパートを賃貸しているときにかかる税金

①固定資産税・都市計画税

賃貸アパートを所有しているときは固定資産税・都市計画税がかかります。

計算式は課税標準額(固定資産税評価額)×税率=固定資産税・都市計画税です。

固定資産税の税率は1.4%、都市計画税は0.3%です。それぞれ住宅用地等には軽減措置があります。固定資産税・都市計画税は必要経費として計算されます。

②消費税

アパートを賃貸している場合、消費税がかかるものとかからないものがあります。たとえば、居住用として賃貸する場合には消費税はかからないため、納める必要はありません。

ただし事業用として賃貸する場合(事務所・店舗・駐車場など)は消費税がかかるので、注意が必要です。事業用収入が1,000万円を超える場合は消費税の納税が必要になります。

また、来年からインボイス制度が始まるため、事業用収入があるアパート経営者は、1,000万円以下でも納税義務者になるかどうかの判断を含め、税理士等に相談しながら検討することをおすすめします。課税事業者となった場合、納めた消費税は必要経費として計算されます。

③事業税

アパート経営が一定規模(賃貸物件により差があります)になると事業税がかかります。不動産貸付業は第1種事業に該当し、事業所得に対し、税率は5%です。支払った事業税は必要経費として計算されます。

④所得税

アパート経営する場合、そこで得られた所得は不動産所得となります。

不動産所得は、不動産収入-必要経費=不動産所得で計算されます。

不動産収入は家賃収入・礼金・更新料などのことで、必要経費とは、簡単にいえば収入を得るためにかかった費用のことです。

たとえば、建物等の減価償却費、固定資産税等必要経費となる税金、火災保険料、借入金利子、賃貸アパートの修理にかかわる修繕費などが該当します。

所得税の申告は青色申告が有利です。賃貸規模や記帳の仕方にもよりますが、青色申告特別控除を所得から差し引くことができます。また、不動産所得が赤字になった場合、その赤字を3年間繰り越せるなど、税務上有利な点が多いです。

また、正しい記帳は税金対策だけではなく、自らの正しい経営状況を把握するためにも必要なことです。なお、支払った税金は必要経費とはなりません。

⑤住民税

アパート経営で所得が出た場合、住民税を支払わなければなりません。税率は10%です。確定申告をした場合、住民税の申告も兼ねて行います。控除額については、所得税と若干異なるため、所得税の課税所得とズレが生じます。住民税も必要経費とはなりません。

賃貸アパートを売却したときにかかる税金

譲渡所得税・住民税

賃貸アパートを売却して所得が生じたときは、譲渡所得税がかかります。ただし次の計算式により損失が出たときはかかりません。

譲渡所得=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)

取得費は、土地を購入したときの金額です。建物は取得したときの金額から経過年数に相当する減価償却費を差し引いたものとなります。購入金額がわからない場合は、譲渡収入金額の5%として計算します。税率は5年以内の場合は39.63%、5年超は20.315%です。

今回は、賃貸アパート経営にかかる税金についてどのようなときにどんな税金がかかるのかについて説明しました。ぜひ参考にしてください。

監修:宮路 幸人氏(多賀谷会計事務所 税理士 CFP)

監修:宮路 幸人氏(多賀谷会計事務所 税理士 CFP)

会計事務所における長い勤務経験・豊富な実務経験により、会計処理・税務処理及び経営や税務の相談など、様々な問題に対応。

強みのある領域は不動産と相続関連。特に相続問題では、税金面だけでなく、家族が幸せになれるトータルな提案を重視している。宅地建物取引士、マンション管理士等の資格も保有。

常にフットワークを軽く、お客様のニーズに応えるのがモットー。離島支援活動も積極的に行っている。


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