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「実質利回り13%」のアパートを購入したのに…2年後にキャッシュフローが赤字となったワケ

利益を出すには、利回りが高い物件を購入することが重要と考える不動産投資初心者は少なくありません。実質利回り13%の満室経営のアパートを手に入れることができ、喜んでいたのも束の間……。2年後にはキャッシュフローがマイナスとなってしまった不動産投資初心者の事例をみていきましょう。

「実質利回り13%」の掘り出しものだったが…2年後に赤字に転落

Bさんにとって投資用不動産の購入は、今回が初めての経験です。ただ、すでに賃貸アパート経営を実践している知人から、くれぐれも「表面利回り」に惑わされてはいけないとアドバイスされていました。

そこで、とにかく「実質利回り」が高い物件を紹介してほしいと依頼したところ、紹介されたのが東京都の多摩地区にある約5,000万円のアパートでした。

「実質利回り」は約13%で、満室の状態でのオーナーチェンジ。まさに非の打ちどころがなく、自分が求めていた理想的な物件だと感じたBさんはすぐさま購入したのですが、それからわずか2年後にはキャッシュフローが赤字に陥り、「こんなはずではなかった……」と後悔する結果となりました。

「表面利回り」ではなく「実質利回り」に注目した点は間違っていないものの、Bさんは少々ツメが甘かったようです。その失敗の理由について、次で検証してみましょう。

「実質利回り」だけをみてBさんが失敗したワケ

「表面利回り」とは、投資額(物件の購入価格)に対して、年間にどの程度の割合の賃料収入が得られるのかを示したものです。

年間賃料収入÷物件価格×100(%)

上記計算式で導かれますが、この数値では物件の収益性を正確に把握することは困難です。

なぜなら、諸経費や税金といった支出、空室の発生を一切考慮していないからです。空室の発生を度外視して計算されたものは「想定利回り」と呼ばれ、その数値を鵜呑みにしてしまうと、大きくアテが外れてしまいかねません。

これに対し、賃料収入から支出を差し引き、空室リスクも踏まえたうえでどの程度の手取りが得られるのかを示しているのが「実質利回り」です。「ネット利回り」や「NOI(ネット・オペレーティング・インカム=純利益)利回り」とも呼ばれています。

実質利回りの計算式は以下のとおりです。

{年間賃料収入(満室)×(1-空室率)-経費}÷(物件価格+購入時のコスト)×100(%)

この数値は、その物件の収益性を判断するものさしとなります。なお、計上する経費としては、管理費や管理委託手数料、修繕費、修繕積立金、火災保険料、固定資産税、都市計画税などが挙げられます。

ローンを利用したら「返済後利回り」まで確認することが重要

ローンを活用して物件を購入した場合には、「実質利回り」だけにとどまらず、きちんと「返済後利回り」も確認しておくことが大切です。ローンの返済分を差し引いた手取り収益をもとに算出した数値で、「キャッシュフロー利回り」とも呼ばれています。

Bさんが購入した物件が2ケタの「実質利回り」だったのは、都心から電車で数十分の場所にあるうえ、1970年代後半に建設された築古物件で比較的低価格だったからです。それでも満室の状態だったのは、立地などが良好だったのかもしれません。

しかしローンを利用し、「返済後利回り」はそこまで高くなかったうえ、購入から2年後に深刻な雨漏りが発生して屋根の葺き替え工事が必要となり、一気に赤字に陥ったのは想定外の結果でした。

「返済後利回り」まで明示してくれる不動産会社を選ぶ

期待される家賃収入と物件購入価格を比較する「表面利回り」ではなく、出費も踏まえた正味の収益性を計る「実施利回り」に注目することは、確かに不動産投資のおけるセオリーのひとつです。しかしながら、ローンを活用した場合は、諸経費や税負担などとともに月々の返済という出費も関わってきます。

したがって、ローンの返済分を差し引いて算出する「返済後利回り」で本当の収益性を判断するのが賢明で、Bさんが失敗した理由はそこまで目を向けられなかった点にあります。とはいえ、不動産投資のビギナーがいきなり実践できることでもないでしょう。

不動産会社によっては、想定家賃を近隣の相場よりも高めに見積もった楽観的なシミューレーションで「返済後利回り」を計算するケースも見受けられます。「返済後利回り」を現実的なシミュレーション設定で明示してくれる顧客本位の不動産会社を選んでいきたいところです。

アパート経営オンライン編集部

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