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建築費高騰の今だからこそ知っておきたい!「木造アパート投資」のメリットと「アパートローン」の活用法

物価高が止まりません。それは「不動産投資」においても同様で、建築コストの高騰などを背景に、物件価格は上昇傾向にあります。ついつい値段のことばかりに意識がいってしまいがちですが、見失ってはいけないのが「よい物件」とはどういうものなのかということ。本記事では「木造アパートのメリット」を再確認し、理想の不動産投資について一級建築士の三澤智史が解説します。

木造アパート独自の優位性

木造アパートはほかの構造で建築されたアパートやマンションとどこが違うのでしょうか。また、木造アパート独自の優位性も気になるところです。木造アパートがほかの構造と比較して優れているところは以下のような点です。

・建築コストが安く、投資対効果が高い

・間取りの自由度が高く、入居者の声を反映しやすい

・通気性が高く、湿気やカビ問題が発生しにくい

詳しくみていきましょう。

鉄筋・鉄骨と比較し、建築コストが安く投資対効果が高い

木造住宅の最大の利点は、建築コストが安いことです。国土交通省によれば、2024年10月度に着工した建物について、1㎡あたりの建築コストを構造別に調査したところ、以下のような結果となりました。

[図表]構造別1㎡あたりの建築コスト
出典:国土交通省「建築着工統計調査報告 令和6年10月分」より著者作成

このように、木造建築は1㎡あたりの建築単価が鉄筋コンクリート造と比較して60%程度となります。そのため、建築に要するコストを大幅に削減することが可能です。初期費用の大部分を占める建築コストが下がることで利回りがアップするため、ほかの構造を有する競合物件より優位に賃貸経営をすることができるでしょう。

間取りの自由度が高く、入居者の声を反映しやすい

木造建築は鉄筋コンクリートや鉄骨造の構造と比較して、構造が単純であるため、間取りの自由度が高い点も魅力です。

間取りの自由度が高いことで、築年数が経過してから実施するリフォームやリノベーションにおいて、流行の間取りや入居者満足度の高い間取りを導入することが可能です。そのため、入居者に選ばれやすい物件を創ることができ、中長期的にも入居者の確保に要するハードルが下がることが期待できます。

通気性が高く、湿気やカビ問題が発生しにくい

木の特性として調湿効果が高い点も見逃せない特徴です。木が空気中の湿気を吸うことで湿度が適度に保たれるため、湿気やカビの問題が発生しにくくなります。

もちろん、湿気やカビの問題は入居者の利用状況に依存する点は否定できませんが、入居者が入れ替わるときに要する原状回復費用や修繕費用に差が出るといえるでしょう。

アパートローンの活用法と選び方

不動産投資は初期費用が高額になることが多く、金融機関からの融資を前提にすることがほとんどです。そこで、ここではアパートローンの適切な活用方法と選び方について解説します。とくに、これから不動産投資を始めようと考えている人にとっては役立つ内容になっていますので、ぜひチェックしてみてください。

そもそもアパートローンとは?

基本情報から振り返ります。アパートローンとは、賃貸経営を目的として、不動産を取得したり不動産を建築したりするために利用する金融機関の融資のことです。アパートローンで審査基準となるのは、主に以下の項目です。当然、これらの情報だけをもとに融資の可否を判断するわけではないことには留意しましょう。

・本人の属性(勤務先や年収など)

・本人に属する金融資産(現預金・有価証券など)、不動産の内容

・取得または建築しようとしている不動産の価値

・賃貸経営の計画または実績

アパートローンでは「家賃収入による返済計画の実現可能性」と「不動産の担保価値」が審査のポイントとなります。これは、「安定した家賃収入が見込め、返済ができなくなることがないか」と「返済できなくなったときに担保不動産を売却して融資を回収できるか」を金融機関がチェックするためです。この2点が融資審査の際の大きな判断基準といえます。

そのため、賃貸経営の計画は実現性の高いものである必要があります。計画がずさんであれば、賃貸経営がうまくいくはずはないからです。自身で周辺の家賃相場を確認するなどして、適切な家賃設定を行いましょう。可能であれば複数の不動産会社に家賃の査定を依頼することや、空室時のリスクを抑えるサブリースを検討するのも一つかもしれません。

アパートローンの選び方

アパートローンは金融機関へ資料を持ち込めば相談できるかもしれません。しかし、下調べなしで資料を持ち込むのはあまりお勧めできません。その理由は以下のようなものです。

・金融機関によってアパートローンに対する力の入れ具合が異なる。                                       

・アパートローンは複雑であるため、借入や賃貸経営などの多くの内容を理解する必要があり、安易な計画では返済継続ができなくなる可能性がある。

アパートローンは個別の案件ごとに、融資条件(融資の内容)が変わってきます。また、融資審査が承認となったことと、賃貸経営が安定して回るかどうかはまた別の話です。

しかし、融資条件については賃貸経営の収支計画に密接に関係することもあり、建築会社や不動産会社と連携をとって進めることが不可欠です。

融資審査については、建築会社や不動産会社から紹介を受けた金融機関に相談を持ち込むことで、話がスムーズに進むケースが多いですが、一社の金融機関で納得のいく融資内容とならなかった場合は、ほかの金融機関に相談するのも一つでしょう。

アパートローンは融資条件に目が行きがちですが、賃貸経営計画とのバランスも欠かせません。そのためにも、しっかりと準備を行い、賃貸経営を行うパートナーとして金融機関を選ぶことが重要です。

「アパートローン」と「プロパーローン」

アパートローンに似た言葉に「プロパーローン(プロパー融資)」という言葉を聞かれたことがある人もいるかもしれません。

一般的にアパートローンは、金融機関単体での融資ではなく、保証人などの代わりとなって融資の保証をしてくれる保証会社を介すことが多く、また金融機関ごとにアパートローンの商品がパッケージ化されているケースも多々あります。

それに対し、プロパーローンと呼ばれるものは、保証会社を介さず金融機関が直接融資を行うものであり、金融機関独自の融資審査が行われます。そのため保証会社に支払う保証料や手数料がかからず、融資を受ける際のコストを抑えられるメリットがあります。しかし、金融機関からすると保証なしでの融資となるため、審査基準も厳しく融資額や融資期間を抑えられてしまう傾向があります。

一方、保証会社を介したアパートローンでは、融資を受ける際のコストが高くなるデメリットはありますが、その分、融資額や融資期間が緩和されることが多いでしょう。

ローンは、種類ごとにそれぞれメリット・デメリットがあり、一長一短です。融資の内容(融資額・金利・融資期間など)や、必要となるコスト(融資手数料など)を総合的に判断し、自身の計画にあった融資を選びましょう。

木造アパートで理想の不動産投資を実現しよう

木造アパートは、初期投資を抑えやすく、高い収益性と入居者の満足度を実現できる魅力的な投資物件です。木造と聞くと防火対策や延焼リスクも気になりますが、近年では耐震性や耐久性も大幅に向上しており、万一の場合に備えて火災保険などを充実させることで、安心して投資できる選択肢といえそうです。

理想の不動産投資とは、高い投資対効果を維持しながら、入居者の満足に応えつづけるものです。ぜひ、木造アパートで理想の不動産投資を実践してみてください。

〈参考〉                                            国土交通省「建築着工統計調査報告 令和6年10月分」

※    https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00600120&tstat=000001016965&cycle=1&year=20240&month=24101210&result_back=1&tclass1val=0

監修:三澤 智史氏(一級建築士/一級建築施工管理技士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士)

監修:三澤 智史氏(一級建築士/一級建築施工管理技士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士)

大手ゼネコン在籍中は、一級建築士としてマンションや事務所ビルなど数多くの建築施工に従事。現在は不動産会社にて、新築・リフォームの現場管理と並行して、土地の仕入れから収益物件の設計まで行っている。


投資経験は都内に3つの物件を所有し、不動産クラウドファンディングにも出資。これらの経験を活かして、不動産系の記事を手掛けている。


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